お口の汚れと免疫暴走。新型コロナウイルスに感染しやすい人はこれ!!
新型コロナウイルス感染症で死亡した人を調べると、歯周病菌が大量に見つかったという、英国の研究チームの報告が話題になっています。口腔内の衛生状態が悪い、つまり口の中が汚れていて歯周病などがある人は、感染した場合に重症化リスクが高まる可能性があることがわかってきました。感染しやすい主な原因は歯周病菌が出す毒素や酵素、さらに歯周病による歯ぐきの炎症が関係しています。口腔清掃を怠ると細菌や毒性物質が上皮細胞を破壊します。これが日本人の8割が罹患している歯周病の始まりです。歯周病になると細菌や毒性物質が血管から全身に拡散します。歯科疾患が原因でこの菌血症やエンドトキシン血症(新型コロナウイル感染症の重症化に関わる細菌の毒性物質LPSが血液から検出される病態)を発症している人に新型コロナウイルスが感染すると免疫暴走(サイトカインストーム)の危険性が増加します。サイトカインストームとは、細胞が暴走してサイトカイン(免疫物質)の分泌のコントロールができなくなり、過剰に戦いを続けてしまうことです。この状態ではウイルスだけでなく自分自身の細胞までも傷つけてしまうので、さらに過剰な炎症が起こり、多臓器不全に陥ってしまうわけです。歯と口の細菌や毒性物質は、循環器、呼吸器、消化器の3方向へ拡散し、ほぼすべての臓器に慢性炎症を起こします。この慢性炎症が新型コロナウイルス感染等による緊急時には免疫暴走、細菌性肺炎あるいは敗血症(感染症による死亡につながる重大な臓器障害)の危険因子になります。
コロナウイルスの感染が怖いからと言って、ご自身の判断で治療や定期検診を控えることはむしろ危険ですので、必ずご相談ください。安心して治療や定期検診を受けていただき、お口の健康と新型コロナウイルス感染症対策を行ってください。
院長 渡邊
